2004年11月26日

没交渉なる表現としての芸術

夏目漱石1867-1916
souseki natume

「芸術について」
-文展と芸術-

人は晩年になって、考え込む、暇ができるから
である。そして、自分はなにをやってきたのか、
とため息をつく、そんな時、芸術、という言葉
を思い出す。絵を描いてみる。何かが違う・・
自分の描く絵は、芸術ではない,と思う。
知らない世界が自分に語りかける、お前は何を
やってきたのだ、と。


「芸術は自己の表現に始まって、自己の表現に
終わるものである。・・・
外の言葉でいいかえると、芸術の最初最終の大
目的は他人とは没交渉であるという意味である。
・・・
他人を目的にして書いたり塗ったりするのでは
なくって、書いたり塗ったりしたいわが気分が、
表現の行為で満足を得るのである。そこに芸術
が存在していると主張するのである。」

「余の謡(うたい)の先生は、自ら公言する如
く大分臆病な人らしいが、舞台でならどんな地
震でも怖くありませんとかって余に告げた事が
ある。
この人はまた舞台にある間はたとい見物が笑お
うが騒ごうがちっとも邪魔にならない、あそこ
へ出たが最後観客などはてんで頭に入ってくる
隙(すき)がありませんからと余に話した。
これが芸術気質(かたぎ)の当体である。」

panse280
posted at 20:19

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