2004年05月25日
太宰治
太宰治1909-1948
osamu dazai
「八十八夜」
小説の”書き出し”は大切です。
太宰治は、”書き出し”の名手だと
思う。
例えば、「八十八夜」の書き出しは、
以下のようになる。
「笠井一(はじめ)さんは、作家である。
ひどく貧乏である。このごろ、ずいぶん
努力して通俗小説を書いている。
けれども、ちっとも、ゆたかにならない。
くるしい。もがきあがいて、そのうちに、
呆けてしまった。いまは、何も、わからない。
いや、笠井さんの場合、何もわからないと、
そう言ってしまっても、ウソなのである。
ひとつ、わかっている。一寸さきは闇だと
いうことだけが、わかっている。・・・・・」
太宰治全集〈3〉
osamu dazai
「八十八夜」
小説の”書き出し”は大切です。
太宰治は、”書き出し”の名手だと
思う。
例えば、「八十八夜」の書き出しは、
以下のようになる。
「笠井一(はじめ)さんは、作家である。
ひどく貧乏である。このごろ、ずいぶん
努力して通俗小説を書いている。
けれども、ちっとも、ゆたかにならない。
くるしい。もがきあがいて、そのうちに、
呆けてしまった。いまは、何も、わからない。
いや、笠井さんの場合、何もわからないと、
そう言ってしまっても、ウソなのである。
ひとつ、わかっている。一寸さきは闇だと
いうことだけが、わかっている。・・・・・」
太宰治全集〈3〉