2004年08月30日

作品の価値ー作家の憂鬱

椹木野衣1962-
noi sawaragi

「増補シュミレーショニズム」
アートにおける盗用について

アートというものが作品そのものでなく
政治的言説(信用のねつ造)によって
評価されるようになってから何年になる
だろうか。

「シュミレーショニズムが前提としている
世界観は、ニーチェの云うところの「完全
なニヒリズム」ということになるだろう。
・・・
真なるものと偽なるものの区別もない。」
(福田和也)

シミュレーショニズム

<現代美術家に告ぐ>
「恐れることはない、とにかく「盗め!」
世界はそれを手当たり次第にサンプリング
し、ずたずたにカットアップし、飽くこと
なくリミックスするために転がっている素
材のようなものだ」

<サンプリング>
「「引用」というのがしばしば、作家の内
面的なコンテクストや表現の動機をふくら
ませるためになされることが多いのに対し
て、サンプリングというのはむしろ、ひと
りの人間にひとりの個性、ひとりの作家に
一つの作風という考え方を、ばらばらに切
り崩して、表現の外部へと向けて解き放っ
てしまうものなのです。」

「「引用」はいまだ自己表現のための一手
段であるが、「サンプリング」はむしろ自
己抹消のための一手段ですらある。」

<カットアップ>
「カットアップはコラージュではない。
コラージュは、・・・結局のところ、箱庭
的な予定調和を目指す表現者の趣味性を具
体化する一方法といった感は免れない。
これに対してカットアップは、むしろ当の
表現者を裏切るべくして機能する。」

<リミックス>
「リミックスは、サンプリングされ、カット
アップされた分裂性空間を、微妙な差異を連
鎖的に形成する反復へとさらすことによって
欲望の無限連続体を導きだす。」


<デュシャンの便器、その値段の決め方>
”芸術作品”の価格を決めているのは「
「芸術」として認められているか否かとい
う「信用」以外にありません。つまり、煎
じ詰めれば、「芸術」とは信用の問題なの
です。・・・
それはすぐれて政治的な次元です。なにを
芸術とするかという言説の戦争に勝ち抜く
ことが価値を決めてしまうのですから。」

<なぜ女性作家は男性にとって脅威なのか>
「それは彼女らが男性のそれに匹敵する
作品をつくり始めたからではない。彼女
たちの作品とその存在が、そのような生産
そのものの意義を無効にしてしまうような
性格のものだからである。」


panse280
posted at 20:24

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