2004年08月25日

大衆の反逆

オルテガ1883-1955
ortega y gassert

「大衆の反逆」

歴史学は文献学ではなく予言の学である
と語るオルテガの提唱は、ヨーロッパ連
合(EU)として実現した。

21世紀の先進国で、「大衆の反逆」にさ
らされていない国はない。
文学・芸術の没落は「大衆の反逆」の
結果でもある。

大衆の反逆

<1920年代のヨーロッパ>
「今日のヨーロッパ社会において最も
重要な一つの事実がある。それは、大
衆が完全な社会的権力の座に登ったと
いう事実である。
大衆というものは、その本質上、自分
自身の存在を指導することもできなけ
れば、また指導すべきでもなく、まし
てや社会を支配統治するなど及びもつ
かないことである。
したがってこの事実は、ヨーロッパが
今日、民族や文化が遭遇しうる最大の
危機に直面していることを意味してい
るわけである。」

<専門主義の野蛮性>
19世紀文明としての自由主義的デモク
ラシーと技術は自動的に大衆人を生み
出した。
「実験化科学の発展は、その大部分が
驚くほど凡庸な人間、さらには凡庸以
下の人間の働きによるものであったと
いうことである。・・・物理学や生物
学において行なわねばならないことの
大部分は、機械的な頭脳労働であり、
それは誰にでも、あるいはそれ以下の
者にでもできる仕事なのである。」

「かっては、人間は単純に、知識のあ
る者と無知なるもの、多少とも知識が
ある者とどちらかといえば無知なる者
の二種類に分けることができた。
ところが、この専門家なるものは、そ
のいずれの範疇にも属しえないのであ
る。・・(彼等は)知者であるともい
えない。しかし、かといって無知者で
もない。・・・彼は、自分が知らない
あらゆる問題において無知者としてふ
るまうのでなく、そうした問題に関し
ても専門分野において知者である人が
もっているあの傲慢さを発揮するであ
ろう・・・
文明が彼を専門家に仕上げた時、彼を
自己の限界内に閉じこもりそこで慢心
する人間にしてしまったのである。」

こうした専門家の野蛮性が文化の堕落
を招いている。>(教養の欠如)

<大衆と高貴なる人の区別>
「なんらかの問題に直面して、自分の
頭に簡単に思い浮かんだことで満足す
る人は、知的には大衆である。
それに対して、努力せずに自分の頭の
中に見出しうることを尊重せず、自分
以上のもの、したがってそれに達する
にはさらに新しい背伸びが必要なもの
のみを自分にふさわしいものとして受
け入れる人は、高貴なる人である。」

<脱出方法>
「現代社会の特徴は、自分が過去のあ
らゆる時代に優る時代であることをう
ぬぼれながらも、その自分を完全に掌
握していない時代、実現へのあり余る
能力をもっていることを意識しながら
も、何を実現していいかを知らぬ時代、
つまり優越感と不安感の奇妙に入り混
じった時代であるということである。
・・・・
大衆人とは本来波のまにまに漂う人間
であり、生の計画をもたない人間であ
る・・・大衆人は文明世界に中に突如
おどり出た未開人であり野蛮人なので
ある・・・」(訳者あとがき、より)

このデカダンスからの脱出方法として
オルテガは「歴史意識」の再生を強調
している。


panse280
posted at 10:09

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