2004年08月02日

高貴なる敗北

アイヴァン・モリス
Ivan Morris 1925-1976

「高貴なる敗北」
-日本史の悲劇の英雄たち-
昭和56年中央公論社

美しい日本人は一体何処にいった
のだろうか?「高貴なる敗北」に
描かれる悲劇の英雄たちを現代の
日本人は、果たしてどれだけ美し
いと感じ取れるだろうか?



「三島が崇拝していた人物とは、
成功者ではなかった。現実社会に
対して偉業をうち立てた人々では
なかった。・・・たとえば、大塩
平八郎のような人物であった。」

西洋では成功者を崇めている。没落
は汚点である。しかし、日本では挫
折した英雄を特にひいき目でみる性
質がある。

「この世の成功を手に入れるには、
一般にさまざまな術策、妥協を必要
とするが、日本では成功のための
いっさいの謀計をいさぎよしとしな
い。ひたむきな誠実さ、一途に誠心を
持つ人物が英雄として存在している。」

本書で扱われる、悲劇の英雄たちは
以下の通りである。

日本武尊、捕鳥部万、有馬皇子、菅原道真
源義経、楠木正成、天草四郎、大塩平八郎
西郷隆盛、カミカゼ特攻の戦士たち

<訳者あとがきから>
「カミカゼ特攻は、ほとんどの西洋人にとって
愚かしい気違い沙汰の行為であり、理解不能
の謎とされてきた。その謎をここでモリスは
解明してみせる。
あの若者たちの心情を、その歴史の条件と
いう視野の中に置いて見せて、初めて西洋
の読者に納得させる。のみならず、ここで
ははっきりと目的を持って死んだ若者たち
の生涯を美しく輝かしく見せている。
それは西洋の読者にとって初めてのこと
だった。」

「高貴なる敗北」は、特攻隊員の歌で
締めくくってある。

けふ咲きてあす散る花の我身かな
いかでその香を清くとどめむ


panse280
posted at 09:37

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