岩を柔らかくする
「吾輩は猫である」(61)
夏目漱石 natume souseki 1867-1916
2009.9 15 110刷発行(新潮文庫)
(日本語の表現を探して)
<岩を柔らかくする>
「元来主人は堅すぎていかん。石炭のたき殻みた
様にかさかさして然もいやに硬い。むかしハンニ
バルがアルプス山を超える時に、路の真ん中に当
たって大きな岩があって、どうしても軍隊が通行
上の不便邪魔をする。そこでハンニバルはこの大
きな岩へ酢をかけて火を焚いて、柔らかにして置
いて、それから鋸でこの大岩を蒲鉾の様に切って
滞りなく通行したそうだ。」