キリスト
「思想の歴史3」(6)
--キリスト教会とイスラム-
服部英次郎編
1970.5.15 再版発行(平凡社)
<キリスト>
キリストは神であって人でもある、と信者は
信じている。
もしキリストが神ならば、十字架上での死も
苦しみもなくて、「苦しそうなふりをしている」
だけで茶番である。
キリストが十字架の死を真実にするためには、
「人間」でなければならない。
もしキリストが神と同時に人でなかった
ら、「時みちて神はそのひとり子をこの世に
つかわした」というその「時みちる」の意味
はなくなる。キリストは何回でも世にあらわれ
で、また天上に帰れる。しかしそれはありえない
ことである。