2017年07月25日

ソクラテスの最後

「思想の歴史1 ギリシャの詩と哲学」(10)
田中美知太郎編

1970.5.15 第5刷発行(平凡社)

<ソクラテスの最後>
告発人はメレトスという若くて狂信的な自称
愛国者であり、告発内容は「ソクラテスが国家
の認める神々を認めないで、新しい鬼神の祭り
を導入したという不敬罪の点と、青年を腐敗させ
た」という二点だった。

しかし、これは表向きで、裏には政治的なもの
があった。例えば、スパルタにねがえった戦争責任者
の中に、昔の仲間がいたとか、ソクラテスの政治批判
が民主政府にとって危険視されたとかである。

ソクラテスは、自分がうけた判決が不当なものである
ことは知っていた。

不正を行うか、不正をうけるかしかない場合には、
彼はむしろ後者を選んだ。

また正当な理由があって殺されるよりも、不当に
殺されることのほうをまだよしとしたのである。

プラトンの「パイドン」で彼の死を次のように
書いている。

「これが、われわれが知るかぎりの同時代の人々の中で、
最もすぐれた人物、とりわけ、知恵と正義において
他に比類のない人物、といってもよい人の最後だった
のです。」

panse280
posted at 07:06

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