2017年05月21日

東洋と西欧の脳

「一葉舟」(2)
岡潔  1901-1978
kiyoshi oka

2016.3.25 改版初版発行(角川ソフィア文庫)

<東洋と西欧の脳>
「私は大学を出てから40年余りを数学の研究を
している。数学の研究というとわからないと思う
人が多いかもしれないが、それは既知のことを
やると思うからで、研究といえば何だってみな
未知のことをやるのである。

数学の場合、数学上の発見がなぜできるのかと
いうことを、世界の大多数の数学者はいまだに
知らないのである。

1912年、ポアンカレーの「科学と方法」が出版
され、フランス心理学会が、それに共鳴して、
世界のおもだった数学者に問いただした結果は、
ポアンカレとほぼ同じ考えだった。
それは数学の発見時の頭の働きは解らないと、
いうことである。

しかし、この問題は東洋人には少しも不思議で
はない。これは仏教でいう無差別智の働きなの
である。この力の働いていることを、その人自身
は少しも意識しないというものである。
無差別智は欧米流のやり方では解明できないの
である。

明治以前の日本人ならば、すぐにわかっただろう
と思われることが、いまでは全くわからなくなって
いる。」

panse280
posted at 20:46

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