2017年05月17日

情操型数学への道

「春の草」(4)
岡潔  1901-1978
kiyoshi oka

2010.7.1 第1刷発行(日経ビジネス人文庫)

<情操型数学への道>
「私が数学を志した表面上の動機は、中学三年
の時、クリフォードの定理に感じた神秘と京大
の”不変式の問題”を解いたことです。

しかし、真の理由は西洋の学問の中から一つ
選んで、その勉強に一生を費やしてみようと
思ったのです。

京大の数学教室にはぜひ読まなければいけない
教科書が二つありました。グルサーの「クール・
ダナリーズ」三巻とピカールの「トゥレーテ・
ダナリーズ」三巻です。

私は英独仏では未熟ながらフランス語が好き
だったのでピカールだけを大急ぎで読み、それ
から論文読みに移りました。

その頃、妻と些細なことで口論して家を飛び出し
散髪屋で耳そうじをしてもらっていました。
すると”パーミュティブルな有理函数のイテレ
ーション”に関する非常に大切な手がかりが
インスピレーション的にわかりました。
私が数学の研究に貢献したのはこれが最初です。

五年目(1929年)に、私はフランスへ向かいました。
現地に四年いましたが、その間にいまの多変数解析
函数論と呼ばれている数学の分野のひどい荒れ地
を開拓することに決めました。

panse280
posted at 06:21

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