2017年05月12日

多変数解析函数

「紫の火花」(3)
岡潔  1901-1978
kiyoshi oka

1964.7.20 第5版発行(朝日新聞社)

<わかった!>
私の選んだ「多変数解析函数」の分野に
おける詳細な目録ができたのは、私が日本に
帰って二年たってからである。

研究の悪戦苦闘中、妙なことが私におこった。
10分ほど勉強すると、眠くなるのである。
多分そのころ、私の内部で一種の生理変えが
行われていたにちがいない。

そんなことを三ヶ月も繰り返していたが、
九月になって(広島に)帰る四、五日前の
ことである。私は朝飯をたべてから、しばらく
ソファーにすわっていた。

なぜだかわからないが、すわっていたくて
すわっていたのである。すると、心が一つの
方向にむかって働きはじめた。

そのまま、私は二時間ほどじっとすわっていた。
次第に情勢がはっきりしてきた。
それは例えていうと、いままで閉まっていた
襖がスウッと開いて隣の部屋の内部が見えて
くるような具合だった。

あるいは朝霧がはれて、山容があらわれてくる
ような具合だった。それまで手のつけようも
なかった困難を克服する基本原理が一気に
わかってしまった。

この発見を、論文として発表したのはその翌年
で、私が大学を出てから十年もかかっている。

panse280
posted at 08:34

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