2017年05月06日

天才の心模様

「春風夏雨」(4)
岡潔  1901-1978
kiyoshi oka

2014.5.25 改版初版発行(角川文庫)

<天才の心模様>
「妻が障子をあけて「バナナ食べますか」と
たずねた。私は言葉の意味がよくわかったが、
自分とのつながりがわからなかった。

一瞬後に、自分のことだとわかったので、「食べない」
と答えた。ところが自分のいった言葉が耳にはいると
同時に、自分は食べたいのだとわかったから、「食べる」
と言い直した。」

「大学の数学教室にいたころ、時計をもっている者が
いなかったために、時刻を知りたいときは、1階の
大時計を見にいった。

数学問題に熱中していると、何をしに行ったのかを
忘れて、小便をして帰ってくる。考え込み方が少し
浅いときは、時計があることだけを見て帰ってくる。

もう少し浅いときは、針の位置だけ見て帰ってきて、
後で大脳前頭葉が推理する。
一番浅い時は、時計を見てその場で時間がわかる。

数学に没入している時は、外部に無関心になっている。
つまり、無差別智の世界にいる。無差別智の情的内容
は心の悦びである。これがなければ研究は続けられない。

無差別智の知的内容は純粋直観、純粋というのは、5官
をとうさないという意味である。

自我を抑えて無差別智を働かせている時に真我があら
われる。私は真我状態では、生きものは決して殺さない
し、若草の芽もみな避けて踏まない。真我の内容は
慈悲心であることがわかる。」

panse280
posted at 17:24

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