2017年01月22日

円地文子の父のおもいで

「日本語を作った男」(14)

山口謠司 youji yamaguchi 1963-

2016.6.7 第2刷発行(株式会社集英社)

<父のおもいで>
「子供の時分、夕方父につれられて、よく
上野公園を散歩した。公園は今のように建物
がごちゃごちゃしていないで、ゆっくり散歩
の出来るたのしい場所だったが、私は父と

一緒に歩くのが何となくたのしかっただけで、
何がどうというような自然に対する感動など
全く覚えていない。

唯、思い出してみると、そういう散歩の時、
父は時々立ちどまっては、恰度今の私が家の
前の欅の木を見上げるように、公園の大きい
木の梢を見上げていた。

中年の父の心には既に花のない樹の幹や枝の
美しさが感じられていたのであろう。」

(「旅よそい」上田万年の次女富美、作家名
は円地文子)

panse280
posted at 09:00

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字