2016年08月10日

近代世界システム

「地球日本史(3)」(1)

責任編集 西尾幹二 1935-
kanji nishio

2005.5.20 3刷発行(扶桑社)

<西洋と日本の師>
西洋が古代ギリシャ・ローマから学んだように、
日本は漢以前の古代中国に学んだ。

荻生徂徠は後漢(25-220)以前の書しか読まない、
と公言していた。

<近代世界システム>
15世紀西洋は貧窮のどん底にあった。
黒死病と戦乱で人口は激減していた。
西洋人は西洋の内部で問題を解決することが
できなくなり、アジアへ進出をはじめた。
西洋はアジアに比べればはるかに文明度の低い
野蛮な欲望を剝き出しにした国家であった。

海賊や傭兵を先頭に押し立てた金の亡者の
「国家」同士のぶつかり合いであるとはいえ、
あるいはそうであるがゆえに、利益のためには
自国の欲望を抑え、他国と協定や条約を結ぶ
多元的な「国際社会」であった。

戦争と平和のルールの中からやがて「万国公法」
を生み出していく、計算高い国家同士の強奪と
妥協、搾取と忍従の民主主義的取引のシステム
であった。

「近代世界システム」がやがて東アジアをも
身動き出来ないままに取り巻き、ここを最後の
砦にして、地球全体を覆い尽くすようになるのは、
第一に「国家」間競争を前提としたこの多元性
にある。

徳川の始め、世界最強を誇った日本だが、270年
間「軍事革命」が「近代世界システム」をつくり
上げていく地球上の潮流に、迂闊にも気づかな
かったことは日本の不運であった。

panse280
posted at 19:23

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字