2016年05月10日

教育者としてのショウペンハウエル

「反時代的考察」(1)
(下巻第三篇:教育者としてのショウペンハウエル)
ニーチェ  1844-1900
Friedrich Wilhelm Nietzsche
秋山英夫 訳

1990.11.15 4版発行(角川文庫)

<私のために書いてくれたような人>
「私(ニーチェ)は今日、私の誇りとしなければ
ならない一人の恩師にして厳格なる教師、アルトゥール・
ショウペンハウエルを偲ぼうとするのである。」

「私はショウペンハウエルの読者の一人である、彼の
手になる第一頁を読み終わったとき、そのすべての頁
を読み抜くであろうこと、そしておよそ彼の口にした
すべての言葉に耳を傾けるであろうことを、明確に
知るところの読者の一人である。彼に対する私の信頼は
即座に現れた、そしていまなお9年前と全く同じである。
分かりやすく、不躾な表現が許されるならば、彼は
まるで私のために書いてくれたかのように、私は彼を
理解した。
ここには何処まで行っても同じ質の、われわれを強めて
くれる空気がある。一種模倣のできない闊達さと自然さ
がここにある。
彼は意味深きことを単純に、感動的なことを修辞抜きで、
厳格に学問的なことを衒学なしに言う。
彼は、正直である。これは私の最大の褒め言葉だ。
正直という点で、ショウペンハウエルに比肩する人を
一人だけ知っている。それはモンテーニュだ。
こういう人がものを書いてくれた御陰で、この地上に
生きる楽しみが加わった。」

panse280
posted at 23:35

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