2016年04月25日
オペラ
「悲劇の誕生」(20)
ニーチェ 1844-1900
Friedrich Wilhelm Nietzsche
西尾幹二 訳
2014.4.25 3版発行(中公クラシックス)
<オペラ>
近代のソクラテス文化をオペラ文化と
よべば、この文化をさらに明瞭にとらえる
ことができる。
オペラという新しい芸術様式が人々を
とらえた本当の魅力と、その発生の原因とは、
完全に非美学的な欲求の満足の中にあった。
すなわち、楽天主義的な人間賛美そのもの、
原始的人間を生まれながらにして善良かつ
芸術的な人間であるとみなす人間解釈にあった。
オペラは理論的人間の産物、つまり素人の
産物であって、芸術家の所産ではない。
オペラは、あらゆる芸術の歴史の中で最も
奇怪な事実の一つである。
ここで要求されていたのは、非音楽的な
聴衆であった。
オペラとは芸術における素人趣味の表現に
ほかならない。彼らは、感受性のある人間
ならば、だれでも芸術家なのだという、
牧歌的な信仰者なのだ。
ニーチェ 1844-1900
Friedrich Wilhelm Nietzsche
西尾幹二 訳
2014.4.25 3版発行(中公クラシックス)
<オペラ>
近代のソクラテス文化をオペラ文化と
よべば、この文化をさらに明瞭にとらえる
ことができる。
オペラという新しい芸術様式が人々を
とらえた本当の魅力と、その発生の原因とは、
完全に非美学的な欲求の満足の中にあった。
すなわち、楽天主義的な人間賛美そのもの、
原始的人間を生まれながらにして善良かつ
芸術的な人間であるとみなす人間解釈にあった。
オペラは理論的人間の産物、つまり素人の
産物であって、芸術家の所産ではない。
オペラは、あらゆる芸術の歴史の中で最も
奇怪な事実の一つである。
ここで要求されていたのは、非音楽的な
聴衆であった。
オペラとは芸術における素人趣味の表現に
ほかならない。彼らは、感受性のある人間
ならば、だれでも芸術家なのだという、
牧歌的な信仰者なのだ。