2016年04月16日

ソクラテスの妄想

「悲劇の誕生」(11)
ニーチェ  1844-1900
Friedrich Wilhelm Nietzsche
西尾幹二 訳

2014.4.25 3版発行(中公クラシックス)

<ソクラテスの妄想>
科学は芸術へと転化する。

存在を理解可能なもの、立証ずみのものと
して表現することは科学の使命である。
この使命をはたすために、もし論証で足りない
というのであれば、ついには神話もまた用い
なければならない。

神話こそ科学の必然的帰結、いや、科学の
そもそもの目的でさえあるのだ。

芸術は、あらゆる人間悲劇の治療剤、予防薬
である。もし芸術がなければ、世界は戦闘や
自殺、あらゆる殺戮でそまるだろう。

ただの一度でも、ソクラテス的認識の喜びの
味をしめた者は、そしてこの認識が現象世界
をおおい包もうと版図を拡大してゆくさまを
身にしみて感じたものは、この時からという
もの、この認識の世界制覇を完成し、この認識
の網の目をすきまなく張りめぐらそうとする
ことへの欲望以外に、もはやいかなるはげしい
刺激、生へと駆り立てられるいかなる激しい
刺激をもけっして感ずることがないだろう。

panse280
posted at 17:19

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