2016年03月25日

スペイン民族

「ドン・キホーテに関する思索」(6)
ホセ・オルテガ・イ・ガセット 1883-1955
Jose Ortega y Gasset

1970.3.1 第2刷発行(現代思潮社)

<スペイン民族>
道を続ける前に四つ辻で立ち止まることを
しない民族、自己の内心を問題としない民族、
自己の運命を正当とし、歴史の中の自己の
使命の上に光をなげかけることへの英雄的な
必要を感じない民族は、なんと不幸なことか。

個人は民族を通してでなければ、世界の中で
方位を決定することはできない。
なぜなら、彼は、流れゆく雲の中の一滴の水
のように、民族の中にとけこんでいるからで
ある。

スペインの傑物たちは、あたかも彼以前には
なにもなかったかのように、混沌の世界から
出発することを繰り返してきたのである。

荒削りで、独創的で、激しい性格、それだけ
で十分だと云うのも愚かな話なのだ。

「かってどこにも書きしるされたことのない
スペインの道筋がなんと良く見えることか」
とフローベルは「ドン・キホーテ」について
書いている。

panse280
posted at 06:10

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