2016年03月01日

楠木正成(2)

「日本精神の研究」(15)
安岡正篤 1898-11983
masahiro yasuoka

2012.8.10 第5刷発行(致知出版)

<楠木正成>(2)
正成の最後

「正成座上に居つつ、舎弟の正季(まさすえ)
に向かって

「そもそも最後の一念によって、善悪の生を引く
といえり。九界の間になにか御辺の願いなる」
と問いければ、正季からからと打笑いて、

「七生まで唯同じ人間に生れて、朝敵を滅ぼさば
やとこそ存じ候絵え」

と申しければ、正成よに嬉しげなる気色にて

「罪業深き悪念なれども我れも斯様に思うなり。
いざさらば同じく生を替えてこの本懐を達せん」

とちかって、兄弟共に刺し違えて、同じ枕に
伏しにけり。」(太平記)

私(安岡)はここを伝えた太平記の作者に
深甚な敬意を表する。
ここは何という強烈な、何という荘厳な境地
であろう。

panse280
posted at 19:56

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