2015年07月31日
憐れという情について
「草枕」(25)
夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume
2006.5.20 第131刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--
<憐れという情について>
「人間を離れないで人間以上の永久と云う感じ
を出すのは容易な事ではない。
・・・
御那美さんの顔が一番似合う様だ。然し何だか
物足らない。
・・・
多くある情緒のうちで、・・憐れは神の知らぬ
情で、しかも神に尤も近き人間の情である。
御那美さんの表情のうちにはこの憐れの念が
少しもあらわれておらぬ。そこが物足らぬの
である。ある咄嗟の衝動で、この情があの女の
眉宇にひらめいた瞬時に、わが画は成就するで
あろう。」
夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume
2006.5.20 第131刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--
<憐れという情について>
「人間を離れないで人間以上の永久と云う感じ
を出すのは容易な事ではない。
・・・
御那美さんの顔が一番似合う様だ。然し何だか
物足らない。
・・・
多くある情緒のうちで、・・憐れは神の知らぬ
情で、しかも神に尤も近き人間の情である。
御那美さんの表情のうちにはこの憐れの念が
少しもあらわれておらぬ。そこが物足らぬの
である。ある咄嗟の衝動で、この情があの女の
眉宇にひらめいた瞬時に、わが画は成就するで
あろう。」