2015年07月22日

みちたりた気分

「草枕」(16)

夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume

2006.5.20 第131刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--

<みちたりた気分>

「普通の同化には刺激がある。
・・・
余の同化には、何と同化したか不分明であるから、
毫も刺激がない。刺激がないから、窈然(ようぜん)と
して名状しがたい楽しみがある。

(窈然:奥深くて、はるかなさま)

軽薄で騒々しい趣とは違う。目に見えぬ幾尋の底を、
大陸から大陸まで動いている広洋たる蒼海の有様と
形容する事が出来る。只それ程に活力がないばかり
だ。然しそこに反って幸福がある。
偉大なる活力の発現は、この活力がいつか尽き果てる
だろうとの懸念が籠る。常の姿にはそう云う心配は
伴わぬ。」


panse280
posted at 14:20

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