2015年07月20日

楽とは?

「草枕」(14)

夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume

2006.5.20 第131刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--

<楽とは?>
「空(むな)しき家を、空しく抜ける春風の、
抜けて行くは迎える人への義理でもない。
拒むものへの面当てでもない。
自から来りて自から去る、公平なる宇宙の意
(こころ)である。
掌に顎を支えたる余の心も、わが住む部屋の如く
空しければ、春風は招かぬに、遠慮もなく行き抜け
るであろう。
・・・
人と争わねば一分(いちぶん)が立たぬと浮世が
催促するから、火宅の苦は免かれぬ。
・・・
楽は物に着するより起るが故に、あらゆる苦しみ
を含む。但詩人と画客なるものがあって、飽くまで
この待対世界の精華を噛んで、徹骨徹髄の清きを知る。
・・・
彼等の楽は物に着するのではない。
同化してその物になるのである。」

panse280
posted at 21:11

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