2015年07月17日

日本料理は美しい

「草枕」(11)

夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume

2006.5.20 第131刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--

<日本料理は美しい>
--出された昼食をしばし眺めている--

「「お嫌いか」と下女が聞く。「いいや、今に食う」
と云ったが実際食うのは惜しい気がした。

ターナーが或る晩餐の席で、皿に盛るサラダを見詰め
ながら、涼しい色だ、これがわしの用いる色だと傍の
人に話したと云う逸事をある書物で読んだ事があるが、
この海老と蕨の色を一寸ターナーに見せてやりたい。

一体西洋の食物で色のいいものは一つもない。あれば
サラダと赤大根位なものだ。・・・

日本の献立は、吸物でも口取でも、刺身でも物綺麗に
出来る。会席膳を前へ置いて、一箸(ひとはし)も
着けずに、眺めたまま帰っても、目の保養から云えば、
御茶屋へ上がった甲斐は充分ある。」

panse280
posted at 19:04

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