2015年07月04日
ニーチェの嘆きとは?
「吾輩は猫である」(46)
夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume
2009.9.15 第10刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--
<ニーチェの嘆きとは?>
「(ニーチェ)を読むと壮快というより寧ろ気の毒
になる。あの声は勇猛精進の声じゃない、どうして
も怨恨痛憤の音だ。
・・・
ニーチェの時代は・・英雄なんか一人も出やしない。
・・昔は孔子がたった一人だったから、孔子も幅を
利かしたのだが、今は孔子が幾人も居る。ことによる
と天下が悉く孔子かも知れない。だからおれは孔子
だよと威張っても圧(おし)が利かない。・・・
不平だから超人などを書物の上だけで振り回すのさ。」
夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume
2009.9.15 第10刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--
<ニーチェの嘆きとは?>
「(ニーチェ)を読むと壮快というより寧ろ気の毒
になる。あの声は勇猛精進の声じゃない、どうして
も怨恨痛憤の音だ。
・・・
ニーチェの時代は・・英雄なんか一人も出やしない。
・・昔は孔子がたった一人だったから、孔子も幅を
利かしたのだが、今は孔子が幾人も居る。ことによる
と天下が悉く孔子かも知れない。だからおれは孔子
だよと威張っても圧(おし)が利かない。・・・
不平だから超人などを書物の上だけで振り回すのさ。」