2015年06月18日

主人は”あばた”面である

「吾輩は猫である」(30)

夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume

2009.9.15 第10刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--

<主人は”あばた”面である>
「元来鏡というものは気味の悪いものである。
・・・
吾輩などは始めて当家の令嬢から鏡を顔の前へ
押し付られた時に、はっと仰天して屋敷のまわり
を三度駆け回った位である。
・・・
ややあって主人は(鏡をみながら)「成程きたない
顔だ」と独り言を云った。
・・・
「成程きたない顔だ」と云ったあとで、・・ぷうっと
頬っぺを膨らました。そうしてふくれた頬っぺを平手
で二三度叩いてみる。
・・・
「この位皮膚が緊張すると”あばた”も眼につかん」
と又独り語をいった。」

panse280
posted at 18:28

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字