2015年06月02日

鼻子のプライド崩壊

「吾輩は猫である」(15)

夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume

2009.9.15 第10刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--

<鼻子のプライド崩壊>
「(吾輩の)主人は博士とか大学教授とかいうと
非常に恐縮する男であるが、妙な事には実業家に
対する尊敬の度は極めて低い。
・・・
いくら先方が勢力家でも、財産家でも・・・無頓着
である。・・・どこに、だれが何をしてるか一向知らん。
知っても尊敬畏服の念は毫も起らんのである。
・・・
鼻子の方では天が下の一隅にこんな変人がやはり日光
に照らされて生活していようとは夢にも知らない。
・・・
(鼻子)はどこの会へ出ても、どんな身分の高い人の
前でも立派に金田夫人で通して行かれる、況んや
こんな燻り返った老書生に於てをやで、私の家は
向う横丁に角屋敷ですとさえ云えば職業などは聞かぬ
先から驚くだろうと予期していたのである。
「金田って人を君(迷亭君)知ってるか」・・」

panse280
posted at 06:55

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