男は誰でも浮気者
「吾輩は猫である」(10)
夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume
2009.9.15 第10刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--
<男は誰でも浮気者>
「元来主人は平常枯木寒巖の様な顔付はして
いるものの実のところは決して婦人に冷淡な
方ではない、かって西洋の或る小説を読んだら、
その中にある一人物が出て来て、それが大抵の
婦人には必ずちょっと惚れる。
勘定をしてみると往来を通る婦人の七割弱には
恋着するという事が風刺的に書いてあったのを
見て、これは真理だと感心した位な男である。」