2015年05月24日

放蕩と趣味

「吾輩は猫である」(6)

夏目漱石 1867-1916
sohseki natsume

2009.9.15 第10刷発行(新潮文庫)
--漱石の文章を味わってみる--

<放蕩と趣味>
先生、水彩画断念の弁

「あの人の妻君は芸者だそうだ。羨ましい事である。
元来放蕩家を悪くいう人の大部分は放蕩をする資格
のないものが多い。又放蕩家を以て自任する連中の
うちにも、放蕩する資格のないものが多い。
・・・
あたかも吾輩の水彩画に於けるが如きもので到底
卒業する気づかいはない。
・・・
料理屋の酒を飲んだり待合へ這入るから通人となり
得るという論が立つなら、吾輩も一廉(ひとかど)の
水彩画家になり得る理屈だ。
・・・
吾輩の水彩画の如きはかかない方がましであると
同じ様に、愚昧なる通人よりも山出しの大野暮の
方が遥かに上等だ。」

先生は自分の絵が額に入れられて欄間に懸かって
いる夢を見た。それを見ると、
「我ながら急に上手になった。非常に嬉しい。
これなら立派なものだと独りで眺め暮らしていると、
夜が明けて眼が覚めてやはり元の通り下手である事
が朝日と共に明瞭になってしまった。」

panse280
posted at 17:24

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