2015年05月18日

現代小説の登場人物

「小林秀雄」(22)

江藤淳 1932-1999
jyun eto

1990.4.30 第8刷発行(角川文庫)

<現代小説の登場人物>
「僕(小林)は「大日本史」の列伝を読みながら、こんな
ことをつくづく感じた。何故、こんな単純極まる叙述から、
様々な人々の群れが、こんなに生き生きと跳り出すのであ
らうか。何故、遠い昔の彼等の言ふこと為す事が、僕にこ
んなによく合点出来るのであらう。何んと、彼等は、それ
ぞれいかに彼等らしく明瞭に振舞ひ、いかにも彼等らしい
必要な事だけをはっきりと言ひ、はっきりと死んでいるの
か。
それに引きかへ、現代の小説に登場する多くに人間は、一体
何処に行ってしまうのだろうか。・・同じ時代の空気を吸っ
ている人達なのに、どうして解り難いのか。
・・・
彼等には、自分の星もなければ、運命もない様に見える。」

panse280
posted at 23:18

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