2015年04月22日

天才の取り柄なきものは

「漱石全集第18巻」(38)
--文学論--

夏目漱石 1867-1916
souseki natsume

1979.8.8 第7刷発行(岩波書店)

<天才の取り柄なきものは>
高等なる専門学者にして毫も気韻の尊むべきなき
ものあり。有名なる芸術家にして毫も正義を重んぜ
ざるものあり。これらは皆天才たるの栄を有すると
共に奇形児たるの業を享けて生まれたるものなり。

Titianは尋常人の一色を認むる所において、既に
百色を区別すと。これを専修の功と云う。

もし専門とする所にして何等の取るべきなくして
徒にその道に天才なるは、ただに天才たるの不名誉
なるのみならず、あわせて奇形児たるの醜を一代に
かがやかすものなり。

panse280
posted at 07:33

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