2015年04月15日

調和法

「漱石全集第18巻」(32)
--文学論--

夏目漱石 1867-1916
souseki natsume

1979.8.8 第7刷発行(岩波書店)

<調和法>
例えば謡本の傍に般若の面を描けば、調和と
して成立すべきも、その一つを以て他を説明
すること能わざるは明らかなり。

「花笑ふ」と云ふ一句を挙して念ずれば純然
たる投出法なるも、もし長閑なる春の景色の
叙景中に点出せられたる一句と観ずれば一種
の調和法に外ならず。

およそ文学的材料中最も力弱きは知的、超自然
的の二者なれば、これ等を使用する際には勢ひ
更に有力なる感覚的、及び人事的の内容を配し
全体の興味を大ならしむべきは云ふを待たず。

panse280
posted at 08:37

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