2015年04月07日
人間は困難が好き
「漱石全集第18巻」(24)
--文学論--
夏目漱石 1867-1916
souseki natsume
1979.8.8 第7刷発行(岩波書店)
<人間は困難が好き>
人は冒険生の動物なり。
人生の目的は生命にあるを思えば、生に害なきを
棄てて、好んで危うきに赴くは一見して矛盾なる
がごとし。
なにゆえ雪中にアルプスを越える、それは
苦痛なるが為なり。
略言すれば危険の量多きが為なり。
思うに、吾人は危険その物を好むにあらず。
危険その物を目的として活動するものにあらず。
この危険に打ち勝ちたる時、この困難を凌ぎ得た
る時、自己の力を自覚して、これに伴なひ生ずる
快感を大ならしめんと冀(こいねが)ふなるべし。
--文学論--
夏目漱石 1867-1916
souseki natsume
1979.8.8 第7刷発行(岩波書店)
<人間は困難が好き>
人は冒険生の動物なり。
人生の目的は生命にあるを思えば、生に害なきを
棄てて、好んで危うきに赴くは一見して矛盾なる
がごとし。
なにゆえ雪中にアルプスを越える、それは
苦痛なるが為なり。
略言すれば危険の量多きが為なり。
思うに、吾人は危険その物を好むにあらず。
危険その物を目的として活動するものにあらず。
この危険に打ち勝ちたる時、この困難を凌ぎ得た
る時、自己の力を自覚して、これに伴なひ生ずる
快感を大ならしめんと冀(こいねが)ふなるべし。