2015年03月30日

文学二種

「漱石全集第18巻」(16)
--文学論--

夏目漱石 1867-1916
souseki natsume

1979.8.8 第7刷発行(岩波書店)

<文学二種>
「情緒は文学の骨子なり、道徳は一種の情緒なり。

余はここに善悪観念の抽出を以て文学の或る部分
の賞翫に欠くべからざる条件なりと断言す。
さてこれを二種に分かつ。

1は非人情と名づくべきもの、即ち道徳抜きの
文学にして、この種の文学には道徳的分子入り込み
来る余地なきなり。
東洋の文学にはこの趣味深きが如く、わが国俳文学
にありて殊に然りとす。

2は道徳的分子の当然混じ来るべき問題なるにも
関せず、読者がその道徳的方面を忘却してこれを
味わふ場合を云ふ。これを不道徳文学と名づくべし。
不道徳文学は文学が存在する限り滅亡するものに
あらず。(一例としてBronteのJane Eyre)」

panse280
posted at 08:24

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