2015年03月26日

神と極楽

「漱石全集第18巻」(12)
--文学論--

夏目漱石 1867-1916
souseki natsume

1979.8.8 第7刷発行(岩波書店)

<神と極楽>
「神とは英雄を無限に拡大したるものにして、
英雄は神の縮図に過ぎず。

神は人間の原形なりという聖書の言は却って
人間は神の原形なりと改むるべきなり。」

Platoの極楽は「理想共和国」にして、Moreの
極楽は「無有国(ユートピア)」なりとす。
ダンテの極楽はパラダイス、Rossettiの極楽は、
かのBlessed damozelの住むところなるべし。
またMiltonのそれは「失楽園」四の巻に描かれ
しエデンの花園なりしならん。

かくのごとく、神と云ひ極楽と云ふ、皆吾人の
案出に外ならず。」

panse280
posted at 19:07

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