2015年02月15日
「草枕」(1)
「父・夏目漱石」(10)
夏目伸六 1908-1975
shinroku matsume
1992.6.25 第3刷発行(文春文庫)
<「草枕」>(1)
父が「草枕」の草稿にとりかかったのは、明治39年
の8月に入った暑い最中だった。
当時父は一高、東大、明治と三つの教職を兼務して
いたから、この述作も、授業と講義作成の余暇を
さいて完成された訳で、母から聞いた話によると、
父は仕事のために夜なべなどした例は一度もなく
遅くとも11時には寝たという。
「草枕」は、自分では書けない、書けないと
こぼしながら8月9日には脱稿してしまった。
原稿用紙で240〜250枚だが、1週間から10日で
書いたことになる。
しかも、その間、父がねじり鉢巻で、机の前に
座りきりだったといった様子はどこにも見受け
られない。
「手紙の10本や20本来たって詩想が妨げらるる様な
デリケートな文章家にあらず。喧嘩をしつつ、勉強
しつつ、文章を書きつつ・・」(漱石)
夏目伸六 1908-1975
shinroku matsume
1992.6.25 第3刷発行(文春文庫)
<「草枕」>(1)
父が「草枕」の草稿にとりかかったのは、明治39年
の8月に入った暑い最中だった。
当時父は一高、東大、明治と三つの教職を兼務して
いたから、この述作も、授業と講義作成の余暇を
さいて完成された訳で、母から聞いた話によると、
父は仕事のために夜なべなどした例は一度もなく
遅くとも11時には寝たという。
「草枕」は、自分では書けない、書けないと
こぼしながら8月9日には脱稿してしまった。
原稿用紙で240〜250枚だが、1週間から10日で
書いたことになる。
しかも、その間、父がねじり鉢巻で、机の前に
座りきりだったといった様子はどこにも見受け
られない。
「手紙の10本や20本来たって詩想が妨げらるる様な
デリケートな文章家にあらず。喧嘩をしつつ、勉強
しつつ、文章を書きつつ・・」(漱石)