2015年02月12日

中村是公と父(漱石)

「父・夏目漱石」(7)
夏目伸六 1908-1975
shinroku matsume

1992.6.25 第3刷発行(文春文庫)

<中村是公と父>
是公さんと父とは予備門時代からのことで、当時
二人は私塾の教師をしながら同居して、そこから
予備門に通学していた。
大学を終えて、父は松山へ、是公さんは台湾へ
行き、音信を断ったが、二人は偶然ロンドンで
再会した。

「中村は金を持っていた。自分は中村と一緒に
方々遊んで歩いた。」(漱石)

その後、是公さんは満鉄の総裁になり、父は小説家
になった。

父が何のこだわりもなく付き合えた唯一の友は
是公さんだけだった。
他の知友、子弟の愛情は、父の才能と名声の
裏付けが先決条件となっていた。

是公さんは父の死後も、毎年晩秋頃になると
山鳥を五六羽私の家宛に送ってくれた。

小宮豊隆さんは父から一番愛されていると自認
していたが彼も単なる才幹の心酔者に過ぎなかった。

父を「お前、お前」と呼び捨てにすることが出来た
のは是公さんしかいなかったし、父が平気で金を
無心できたのも是公さんしかいなかった。


panse280
posted at 18:43

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