2015年02月10日

愛子と「行人」

「父・夏目漱石」(5)
夏目伸六 1908-1975
shinroku matsume

1992.6.25 第3刷発行(文春文庫)

<愛子と「行人」>
私たち兄弟のうちで、たった一人、父をこわがら
なかった子供がいる。私のすぐ上の姉の愛子である。
父は愛子を一番可愛がっていたようである。

私たち兄弟のなかで、ほとんど父から怒鳴られた
ことのないのはこの姉だけだった。

「行人」は父の頭が険悪な状態のときに書かれた
ものだが、「行人」中の「兄」の唯一の慰安者
であるお重という妹として登場させている。

実際の姉とは性格的な類似点もみられないが、
それはただ、父がこの姉の行跡をモデルにした
のではなく、その頃の姉の気持ちを、そのまま
念頭において描いた、そうした人物なのである。

panse280
posted at 20:56

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