2015年01月23日

手紙で用をたした泥棒

「漱石の思い出」(9)

夏目鏡子述 1877-1963
kyoko natsume

2009.10.25 第7刷発行(文春文庫)

<初代の猫の話>
夏の始め頃、子猫が家の中に入ってきました。
猫嫌いの鏡子は外につまみ出すのだが、また上がって
くる。そこに漱石がきて、置いてやれ、というので
置くようになった。
家によく来るお婆さんの按摩がこの猫を仔細に調べて
いて突然、「奥様、この猫は全身足の爪まで黒うござ
いますが、これは珍しい福猫でございますよ。
飼っておおきになるときっとお家が繁昌いたします」
というので、鏡子も嬉しくなり世話をしだした。
これが有名な初代の猫です。
この家(本郷区駒込千駄木町57番地、郁文館中学に面す)
で「吾輩は猫である」などが書かれた。
期間は明治36年3月〜39年12月。

<手紙で用をたした泥棒>
この家にはよく泥棒が入って来客中の客の帽子や外套まで
盗まれた。さらに書斎の上に置いてあった鈴木三重吉から
の手紙が一端を残して、障子に外へ出て、前の木戸を抜け
さらに次の木戸もぬけて、畑の中まで続き、その手紙の
一番先で大便を拭いてあった。手紙の長さといい、泥棒
の度胸といい、時代を感じさせる話だ。

panse280
posted at 18:05

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