2014年12月14日

芭蕉雑記/芥川龍之介

「芭蕉雑記」

芥川龍之介  1892-1927
ryunosuke akutagawa

1968.8.25 第1刷発行(筑摩書房)

<糞やけ道>
芭蕉は一巻の書も著したことはない。

芭蕉の俳諧の特色の一つは目に訴える美しさと耳に
訴える美しさとの微妙に融け合った美しさである。
蕪村の大手腕もついに追随できなかった。

「彼(芭蕉)は不義をして伊賀を出奔し、江戸へ来て
遊里などへ出入りしながら、いつか近代的大詩人に
なった。
禅坊主は度々褒める代わりに貶す言葉を使うもので
ある。彼(芭蕉)は実に日本の生んだ三百年前の
大山師だった。」

芭蕉の衣鉢は一茶に伝わっただけだ。

時代は作品を支配する。一茶の作品はそのために
芭蕉と同じ峰に達していない。が、彼らは腹の底では
どちらも「糞やけ道」を通っていた。

panse280
posted at 16:54

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