讃えるべき物を持て
「南無阿弥陀仏」(47)
柳宗悦 1889-1961
nuneyoshi yanagi
1991.8.6 第2刷発行(岩波文庫)
<讃えるべき物を持て>
ほれぼれと見守るものを、いつも目前に
見るがよい。幸これに如くものはない。
人間は何時だとて、仰ぐべき本尊を心に
持つがよい。物にも持つがよい。
上は釈迦牟尼から、下は一枚の布まで。
讃えるべき物を持てば、生活は輝く。
何故なら、人間はこれで謙譲や、反省や、
精進や、清浄や、もろもろの徳に交わる縁と、
固く結ばれるに至るからである。