魚ハ泳ゲド水ニ跡ナク
「南無阿弥陀仏」(45)
柳宗悦 1889-1961
nuneyoshi yanagi
1991.8.6 第2刷発行(岩波文庫)
<魚ハ泳ゲド水ニ跡ナク>
泳ぐ魚も飛ぶ鳥も水に空に跡を残さぬ。
人間の行いはとかく跡を残す。執着である。
行いは前後截断でよい。そうでなければ
あたら影を追い、自分を縛ることになる。
<今身ヨ何時身ルモ>
「私(柳)は「どうしたら、美しいものが
見えるようになれるか」とよく聞かれる。
別に秘密はない。初めて「今見る」想いで
見る、それだけである。
眼と心が何時も新しく働かねば、美しさは
その真実の姿を現してくれぬ。」