2014年09月01日
俺(沙悟浄)の役目
「中島敦」(8)
中島敦 1909-1942
atsushi nakajima
2008.3.10 第1刷発行(ちくま日本文学012)
【悟浄歎異】(8)
--沙門悟浄の手記--
<俺(沙悟浄)の役目>
「この旅行の俺の役割・・毎日の八戒の怠惰を戒める
こと。それだけではないか。何も積極的な役割が無い
のだ。
俺みたいな者は、いつどこの世に生れても、結局は、
調節者、忠告者、観測者にとどまるのだろうか。決して
行動者には成れないのだろうか?
八戒はいつも寝過ごしたり怠けたり化け損ったりして
(悟空に)怒られ通しである。俺が比較的彼を怒らせ
ないのは、今まで彼と一定の距離を保っていて彼の前
に余りボロを出さないようにしていたからだ。
・・
どしどし叱られ殴られ罵られ、こちらからも罵り返して、
身をもってあの猿からすべてを学び取ねばならぬ。
遠方から眺めて感嘆しているだけでは何にもならない。」
中島敦 1909-1942
atsushi nakajima
2008.3.10 第1刷発行(ちくま日本文学012)
【悟浄歎異】(8)
--沙門悟浄の手記--
<俺(沙悟浄)の役目>
「この旅行の俺の役割・・毎日の八戒の怠惰を戒める
こと。それだけではないか。何も積極的な役割が無い
のだ。
俺みたいな者は、いつどこの世に生れても、結局は、
調節者、忠告者、観測者にとどまるのだろうか。決して
行動者には成れないのだろうか?
八戒はいつも寝過ごしたり怠けたり化け損ったりして
(悟空に)怒られ通しである。俺が比較的彼を怒らせ
ないのは、今まで彼と一定の距離を保っていて彼の前
に余りボロを出さないようにしていたからだ。
・・
どしどし叱られ殴られ罵られ、こちらからも罵り返して、
身をもってあの猿からすべてを学び取ねばならぬ。
遠方から眺めて感嘆しているだけでは何にもならない。」