2014年08月30日
生きものは面白い
「中島敦」(6)
中島敦 1909-1942
atsushi nakajima
2008.3.10 第1刷発行(ちくま日本文学012)
【悟浄歎異】(6)
--沙門悟浄の手記--
<生きものは面白い>
悟空、八戒、沙悟浄の三人は、別々の考えで、
廃寺に泊まることに意見の一致をみる。
「悟空は、かかる廃寺こそ屈竟の妖怪退治の場所だ。」
「八戒は、今更よそを尋ねるのも億劫だし、早く家に
入って食事もしたいし、眠くもあるし。」
「俺(沙悟浄)は、どうせこの辺は邪悪な妖精に満ち
ているのだろう。どこへ行ったって災難に遭うのだと
すれば、ここを災難の場所として選んでもいい。」
「生きものが三人寄れば、皆このように違うもので
あろうか?生きものの生き方ほど面白いものは無い。」
中島敦 1909-1942
atsushi nakajima
2008.3.10 第1刷発行(ちくま日本文学012)
【悟浄歎異】(6)
--沙門悟浄の手記--
<生きものは面白い>
悟空、八戒、沙悟浄の三人は、別々の考えで、
廃寺に泊まることに意見の一致をみる。
「悟空は、かかる廃寺こそ屈竟の妖怪退治の場所だ。」
「八戒は、今更よそを尋ねるのも億劫だし、早く家に
入って食事もしたいし、眠くもあるし。」
「俺(沙悟浄)は、どうせこの辺は邪悪な妖精に満ち
ているのだろう。どこへ行ったって災難に遭うのだと
すれば、ここを災難の場所として選んでもいい。」
「生きものが三人寄れば、皆このように違うもので
あろうか?生きものの生き方ほど面白いものは無い。」