2014年08月29日

三蔵法師の魅力

「中島敦」(5)
中島敦 1909-1942
atsushi nakajima

2008.3.10 第1刷発行(ちくま日本文学012)

【悟浄歎異】(5)
--沙門悟浄の手記--

<三蔵法師の魅力>
「三蔵法師は不思議な方である。実に弱い。驚く
ほど弱い。変化の術ももとより知らぬ。途で妖怪
に襲われれば、すぐに掴まってしまう。弱いという
よりも、まるで自己防衛の本能が無いのだ。

我々に無くて師に在るものは。・・内なる貴さが
外の弱さに包まれている所に、師父の魅力がある
のだと、俺は考える。

三蔵法師は、何と実務的には鈍物であることか!
だが・・いつどこで窮死してもなお幸福であり
得る心を、師は既に作り上げておられる。
・・
悟空は師の自分より優っているこの点を理解して
いない。
・・
もっと可笑しいのは、師父自身が、自分の悟空に
対する優越をご存じないことだ。
・・
二人とも自分達の真の関係を知らずに、お互いに
敬愛しあっているのは、面白い眺めである。」

panse280
posted at 18:50

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字