2014年04月20日

歴史とは

「学生との対話」(4)
小林秀雄
hideo kobayashi 1929-1983

2014.3.30 発行(新潮社)

<歴史とは>
「今の歴史というのは、正しく調べることに
なってしまった。いけないことです。そうでは
ないのです。歴史は上手に「思い出す」ことなの
です。歴史を知るとは・・・想像上の経験をいう
のです。・・・宣長は学問をして、そういう経験
にまで達することを目的としたのです。だから、
宣長は本当の歴史家なのです。
・・・
古えの口ぶり、手ぶりがまざまざと目に見える
ようになった、そこまで行った人なのです。
これを本当に歴史を知るというのです。」

「本当の歴史家は、研究そのものが常に人間の
思想、人間の精神に向けられます。人間の精神が
対象なら、それは言葉と離すことはできないで
しょう。・・・言葉のないところに歴史はない
のです。それを徹底して考えたのが宣長です。」

歴史は人間の心なのです。科学では個性を扱う
ことはできない。しかし、僕らの本当の経験と
いうものは、常に個性と密着しているではないか。

宣長は、歴史の根底には文学があると考えた人
です。

panse280
posted at 18:59

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