2014年02月14日

三島由紀夫が復活する

「三島由紀夫が復活する」(1)
小室直樹 1932-2010
naoki komuro
2012.7.10 第6刷発行 (毎日ワンズ)

<摩訶不思議な件>
二・二六事件は不思議な事件だ。
天皇のために天皇が信任する重臣を殺すのである。
この事件において態度がしっかりしていたのは、
石原莞爾(かんじ)ぐらいのものだった。
一般市民は全く平静に暮らし、ケガをした市民も
一人もいなかった。まことに不思議なことである。

この事件は「農村の窮乏」が原因とされている。
決行部隊は、正規軍の指揮下に入って警備隊にくみ
込まれた。政府軍と反乱軍の平和共存など、ありえ
ないことだ。

SFだって、荒唐無稽だとボツにされてしまうだろう
摩訶不思議な事件だ。外国はいうまでもなく日本で
もこんな事件はかってなかったし、考えられないことだ。

橋本欣五郎大佐、石原莞爾大佐、満井佐吉中佐の三人は
「誰を総理大臣にするか」の三者会談を行った。
一介の将校たちが、総理大臣の任命について話合う
など、「大逆罪」なのだ。
総理大臣は天皇が任命するのである。

かくて、決行部隊の「尊皇」は「大逆」にゆきつき、
「天皇親政」は「天皇のロボット化」にゆきつく。
青年将校たちは、こんなこと、夢にも思っていなかった
だろう。

なぜ、こんなことになってしまうのか。
これを説明しうるのは、三島哲学をおいてほかにない。
反乱軍の兵士がもっとも恐れたのは、死ではない。
国賊になることだった。兵士達の父兄も司令部に怒鳴
り込んだ。「息子の命は天皇にあずけてある」と。

そこで、飛行機から有名なビラがまかれた。
その一文には「抵抗するものは全て「逆賊」である」
とあった。それで、兵士は去り、事件は終わった。

決行部隊は尊皇軍であり、反乱軍であった。
論理学上ありえないことである。
これが二・二六事件なのだ。


panse280
posted at 19:08

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字