2013年12月26日

美を求める心

「読書について」(7)
小林秀雄 1902-1983
hideo kobayashi
2013.9.25 初版発行 (中央公論新社)

<美を求める心>
最近の絵はよく解らないという人が多い。それは、諸君が
ただ「見慣れていない」だけです。

「見慣れて来れば、諸君は、もう解らないなどとは言わなく
なるでしょう。」

「見るとか聴くとかという事を、簡単に考えてはいけない。
・・・
頭で考える事は難しいかも知れないし、考えるのには努力
が要るが、見たり聴いたりすることに、何の努力が要ろうか。
そんなふうに、考えがちなものですが、それは間違いです。
見ることも聴くことも、考えることと同じように、難かしい、
努力を要する仕事なのです。」

野球の川上選手は、ある時、ボールが止まって見えたと
言いました。「私(小林)は、誇張ではないと思う。
そんなふうに、球が見えて来るためには、眼を働かせる
努力と練習とがどれほど必要であったかを考えてみるべき
です。
・・
優れた絵や音楽は、そういう眼や耳を持った人の、色や音の
組み合わせなのです。」

美には、人を沈黙させる力があります。
「絵や音楽が本当に解るという事は、こういう沈黙の力に
堪える経験をよく味う事に他なりません。」

panse280
posted at 19:28

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