2013年12月16日

小林秀雄とベルグソン

「小林秀雄の哲学」(12)
高橋昌一郎 1959-
syoichiro takahashi
2013.9.30 第1刷発行 (朝日新書)

<ベルグソン>
ベルグソンの処女作は「時間と自由」という題名
で翻訳出版された。

これについて小林は次ぎのように述べている。
「人生の解決を一哲学の著作に求めるという様な事
は愚かであろうが、この本が、読者の最上の楽しみ
を与えてくれる事は確実である。これには諸君に
訴える様なものは、少しもない。ただ物を正しく見て、
正しく考えるとはどういう具合な事かを教える希有
な本であって、その事が、諸君の裡に、一種痛切な
感情を、ひき起すであろう。」
(「感想」1958)

ベルグソン同様、ノーベル文学賞を受賞したバートランド・
ラッセルは、その「西洋哲学史」で、ベルグソンを
徹底罵倒している。つまり、ベルグソンの「直感優位」に
我慢できなかったのである。

ラッセルという人物は、「直感」を信じない男である。
17歳年下のウィトゲンシュタインの才能を見抜き、「論考」
の出版まで支援したのだが、「論考」を提出した学位面接で、
ウィトゲンシュタインはラッセルとムーアの肩を叩き、
「心配しなくていい、あなたがたが理解できないことは
分かっている」と言われている。

ウィトゲンシュタインが哲学の道へ進む以前に精読した
哲学書はショーペンハウエルの「意志と表象としての世界」
この一冊だけである。

ベルグソンはショウペンハウエルの直系の弟子と呼ばれて
いる。


panse280
posted at 19:54

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