2013年12月15日

ゴッホの手紙

「小林秀雄の哲学」(11)
高橋昌一郎 1959-
syoichiro takahashi
2013.9.30 第1刷発行 (朝日新書)

<「美を求める心」>
1957年、小林55歳、「近代絵画」を書いている合間
に語った文章である。

「「美を求める心」という大きな課題に対して、私は、
小さな事ばかり、お話ししている様ですが、私は、美
の問題は、美とは何かという様な面倒な議論の問題では
なく、私たちめいめいの、小さな、はっきりした美しさ
の経験が根本だ、と考えているからです。」

小林が「ゴッホの手紙」を書いたのは、ゴッホの「鳥の
いる麦畑」の複製をみて感動のあまりしゃがみこんで
しまったためである。
後日、本物の絵をみるのだが、「私の持っている複製は
、非常によく出来たものだが、この色の生ま生ましさは
写し得ておらず、奇怪な事だが、その為に、絵としては
複製の方がよいと、私は見てすぐ感じたのである」と
述べている。」(「近代絵画」1958)

補記:ダリは自分の絵よりもその複製に感動したと自身
言ったいったことがあるが、複製というものは、その人
間の「イヤミ」を消すようだ。白樺派の文学者たちも、
粗末な複製画に感動した後、本物をみて、その感動を
超えられなかったと述べていた。

panse280
posted at 18:08

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