2013年06月27日

犬養毅1855-1932 77歳

「人間臨終図巻(3)」(140)

山田風太郎 1922-2001
fuutaro yamada

2001.05.15 初版(徳間文庫)

<犬養毅1855-1932 77歳>
5月15日、国家改造を企図した陸海軍軍人9名が
首相官邸に突入した。
その時、食堂にいた犬養は「そいつたちに会おう。
話せばわかる」と彼らを和室に案内させた。

犬養は煙草入れから敷島を1本とり、将校たちに
すすめた。

問答無用、のかけ声の中、銃口が火を噴いた。
女中が駆けこんでみると血の海であった。
犬養は女中につまんだままの煙草に火をつける
ように命じた。そして「いまの若い者をもう一度
呼んで来い。話して聞かせることがある」と三度
繰り返していった。
それから4時間後、犬養は絶命した。

多年「清貧」で聞こえていた犬養に、死後莫大な
財産が残されていた。
犬養は決して財閥の走狗ではなかったが、しかし
青年将校たちの決起は、まるきり見当はずれでも
なかったのである。

panse280
posted at 20:44

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